不摂生な食生活

体を整える食養生を意識する

なんとなく不調の日は、食卓から見直してみる

朝はすっきり起きられないし、午後になると謎の眠気に襲われる。休日はぐったりして、せっかくの予定も「まあ、また今度でいいか」に変わってしまう。そんな“なんとなく不調”が増えてきたら、それはもしかすると、食べ方にヒントがあるかもしれません。

“食養生(しょくようじょう)”という言葉、聞いたことがあるでしょうか?
昔ながらの東洋医学に由来した、食べ物を通して体のバランスを整える考え方です。
といっても、何かを我慢するとか、スーパーフードに頼るとかではありません。むしろ、「毎日の食事にちょっと意識を加えるだけ」で整っていくゆるやかで頼もしい知恵です。

自分の体に“聞いてみる”習慣を持つ

現代の食卓は選択肢が多すぎて、つい“気分”だけで選びがちです。コンビニで手に取るメニュー、Uberで頼む夜ごはん、映える朝食プレート…どれも悪くないけれど、たまには“身体が何を欲しがっているか”を基準にしてみるのもおすすめです。

たとえば、疲れているときは「消化にやさしいもの」。冷えを感じる日は「温めてくれる食材」。なんだかやる気が出ないときは「香りで刺激をくれるスパイス」そんなふうに、食事が自分を整えるツールになっていきます。

食養生の基本は、「旬」「地のもの」「偏らない」。春にはデトックスを促す山菜、夏には水分を補うきゅうりやトマト、秋は肺をうるおす白い食材、冬は体を温める根菜や味噌。これらは昔から自然と取り入れられてきた“知恵のごはん”でもあるのです。

忙しい人こそ“食のリズム”が味方になる

食養生のいいところは、「複雑な知識やルールがいらない」ところにあります。たとえば、“三食しっかり食べましょう”の一歩先に、「朝は胃腸のエンジンをかける」「昼はしっかりパワー補給」「夜は内臓を休ませる食事」を意識するだけで、体調は変わってきます。

実際、朝に温かい味噌汁を飲むだけでも、体のスイッチが入りやすくなります。
夜に“消化にやさしいごはん”を選ぶと、翌朝の目覚めが軽くなったりもします。
それってもう、ちょっとした「おいしいセルフメンテナンス」ですよね。

食事は毎日のことだからこそ、無理なく続けられることが大事です。「今日は疲れてるから、生姜を足そう」とか、「冷たいものばかり食べてたから、今夜はお粥にしよう」とか。そんな小さな選択が、ちゃんと未来の自分を助けてくれる気がします。

ごちそうより、ちょうどいい一皿を

“いいものを食べたい”という気持ちは大切ですが、それが“豪華なもの”や“特別な食材”である必要はありません。むしろ、自分の身体が「ちょうどいい」と感じる一皿を選ぶことこそが、本当のご褒美になることもあります。

食養生とは、体の声を聞きながら、食べ方を少しずつ整えていくこと。
これは、忙しさの中で置いてきぼりにされがちな“自分”との再会でもあります。

週末くらいは、ちょっと体の声に耳を傾けて、「今日はどんなごはんがうれしい?」と聞いてみるのもいいかもしれません。そんな“整うごはん”が待っているだけで、明日がちょっと軽くなる気がしてくるから不思議です。