切って、混ぜて、笑って、整える
グルメな休日は、何もレストランに行くだけとは限りません。
ちょっと足を伸ばして、自分で“作って食べる”という選択肢を加えてみると、体も気持ちもじわじわ満たされていきます。
今回の主役は、マクロビオティックのお料理教室。
動物性食品や砂糖を使わず、季節の野菜と穀物、そして「陰陽のバランス」を意識した料理で、内側から整える食スタイルです。と聞くと、少しストイックに思えるかもしれませんが、実際の教室は意外とゆるやかで、和やか。エプロンをつけた瞬間、なんだか“やさしいモード”に切り替わるから不思議です。
野菜の切り方ひとつにも意味があって、「これは体を温めるから冬向き」とか、「これは気の巡りを良くするよ」なんて言葉に、ほぉ〜と頷きながら手を動かしていく。レシピ本を読むだけではわからなかった感覚が、指先から伝わってくる時間です。
“マクロビ”って意外と、おいしくて楽しい
マクロビオティック=茶色くて地味、というイメージは、たぶん古いかもしれません。
今のマクロビ教室では、彩りも華やかで、味のバランスも工夫されたレシピが多く、「これ、普通にカフェメニューで出てきたら頼んじゃうな」というレベルのものが並びます。
しかも、食材そのものの味を活かす調理だから、五感がととのっていくような感覚も心地いいんです。塩や醤油、味噌といった調味料も、ちゃんとしたものを使うとこんなに違うのかと驚かされたりもします。
「体にいいものを摂る」というより、「体がよろこぶものを味わう」というほうがしっくりきます。そして、誰かと同じ料理を囲んで食べると、なんだか気持ちまでやさしくなっていくから不思議です。
食べ方そのものが“リトリート”になる
マクロビ料理教室を旅の目的にすると、自然とその日はスローダウンします。
道中の移動からすでに静かな時間が始まっていて、会場についたころにはいつのまにか“受信モード”に切り替わっている。
料理をしているあいだは、スマホを見ることもなく、ただ野菜と向き合う。煮る・蒸す・盛りつける。そのひとつひとつがちょっとした瞑想のようです。
そして、できあがった料理をゆっくり味わう時間。口に運ぶたびに、忙しさでガチガチになっていた感覚が、ほぐれていくのがわかります。
「これは旅、というより“自分の再起動”なのかもしれない」そんな風に感じたら、それはたぶんリトリートの入口に立った証拠です。
自分をいたわる“台所時間”を旅に持ち帰る
旅先での体験って、現地だけで終わるのはもったいないですよね。
マクロビの料理教室が素敵なのは、帰ってからの暮らしにも自然と取り入れられるところです。
たとえば、冷蔵庫の食材を使って“陰陽バランス”をちょっとだけ意識してみる。お味噌汁に根菜を足してみる。食事中はスマホを手放して、丁寧に味わってみる。そんな小さな変化が、ふだんのごはんを“ちょっとした贅沢”に変えてくれます。
リトリートというと、スパや高級ホテルを思い浮かべるかもしれません。でも、包丁を握ることだって、じゅうぶんリトリート。
手を動かすことで頭がすっきりして、食べることで心が満たされていく。そんな1日があってもいいと思いませんか?





