ととのったあとに、もうひとつの楽しみを
サウナがブームになってからというもの、「ととのう」という言葉がすっかり身近になりました。蒸気に包まれ、水風呂で冷やされたあと、椅子に座ってふわっと広がる浮遊感。あの感覚は、一度知るとクセになる心地よさです。
でも実は、サウナの本当の魅力は“出たあと”にあるとも言われています。汗をかいて、体内の余計なものをリセットしたあとに訪れる、もうひとつのととのい。それが、「食」の時間です。
温まった体に、水分とともにしみわたる食事。サウナ後に食べるものは、ふだんよりも五感が鋭くなっているからこそ、味わいも記憶に残ります。コンビニで済ませるのも悪くはないけれど、せっかくなら“ちょっとした美食”をセットにすることで、体も心もより深く整う週末になるのです。
体にやさしい「整いごはん」という選択
サウナ後の身体は、熱と発汗で内臓の動きが一時的にゆるやかになっています。そのぶん、胃腸に負担をかけない“消化のいい食事”を選ぶのが理想です。
たとえば、蒸し野菜を使った和定食や、発酵食が添えられたスーププレート。汁物は体を内側からじんわり温めてくれますし、味噌や糀、ぬか漬けといった発酵食品には腸内環境を整える作用もあります。
ポイントは、「濃すぎない」「脂っこくない」「塩分も摂れすぎない」という3拍子。サウナで汗と一緒にミネラルも流れているので、昆布だしや煮干しを使った自然由来の旨みが体にすっと染みこみます。
近年は、“サ飯(サウナ飯)”と称してガッツリ系のラーメンや肉料理を楽しむ人も多いですが、翌日の体調まで見据えるなら、リセットとしての食事はやさしさ重視がおすすめです。
美食で整える、五感のご褒美
水風呂に浸かって開いた毛穴のように、サウナのあとって不思議と心も開きやすくなっています。そんな状態で食べるごはんは、味も香りも肌に染み入るように深く届きます。
とくにおすすめしたいのが、サウナとレストランがセットになった施設。最近では、“食事の質”にこだわるスパや温浴施設が増えており、野菜中心の創作和食や、薬膳を取り入れたデリプレートなどが人気を集めています。
また、サウナ後の水分補給にも注目です。ビールで乾杯したくなる気持ちもありますが、ここではあえて自家製ジンジャーエールや果実酢ドリンクなど、体にやさしいノンアルを選んでみてください。巡りのよくなった体に、きゅっと酸味が心地よく届くのを感じるでしょう。
五感で味わう“整いごはん”。それは、サウナという非日常の体験をより深く記憶に刻むための大切なステップでもあります。
食とサウナをセットにする新しい週末のかたち
リフレッシュのためにサウナに行く。そこに、美味しい食事を組み合わせることで、その整いは“体験”に変わっていきます。しかも、ただの食事ではなく、今の自分の体調と感覚にフィットしたものを選ぶという視点が加われば、週末はぐっと“質の高い時間”に変わるのです。
ふだんの生活のなかでは、自分の身体の声をゆっくり聞く余裕がないこともあります。でも、サウナと食事というシンプルな行動のなかで、自分の内側に少しだけ耳を傾けてみる。そんな時間を重ねることが、リセットとしての“習慣”になっていくのかもしれません。
週末はととのうだけで終わらせない。
お腹も心もやさしく整えてくれる、美食のご褒美までつなげていきたいですね。