ゴミの影響

シンプルライフで環境と自分にご褒美を

減らすことで、やさしくなれる毎日へ

「なんだか最近、気持ちに余裕がないかも」
そう思ったとき、部屋の中を見渡してみたら、原因がすぐにわかりました。棚の上には使っていないキッチン家電、冷蔵庫には賞味期限があやしい調味料、クローゼットは“いつか着る服”でぎゅうぎゅう。忙しさを理由に後回しにしていた“整理”が、思考や感情にまで滲んでいたのです。

そこで決めたのが、「ひとつ減らしたら、自分をひとつ褒める」シンプルライフの始め方。全部を一気に片づけなくてもいい。ただ、今日いらないと思ったものを、感謝して手放していく。そんな小さな習慣が、日常にやさしさを戻してくれました。

驚いたのは、気持ちが整うと、まわりの空気まで変わること。家の中の景色がすっきりすると、呼吸も深くなるし、なぜか朝の紅茶もおいしく感じる。自分のペースで、好きなものだけを選ぶ暮らしは、思っていたよりずっと心地よいものでした。

モノを減らしたら、環境にもいいことがあった

シンプルライフの副産物として気づいたのは、ゴミが減ったことでした。必要なものしか買わないから、過剰包装のごみや、使いきれずに捨ててしまう食材も減っていく。紙袋やプラスチック容器が溜まることもなくなり、ゴミ出しの日も軽やかになっていきました。

特に食の面では、なるべく“使い切れる量”を選ぶようになったことが大きな変化です。スーパーでのまとめ買いをやめ、八百屋さんで必要な分だけ買うようにすると、野菜の鮮度が続くうちに全部食べきれるようになりました。自然と、冷蔵庫の中も片づいて、調理するのが楽しくなってくる。

さらに、服の買い方も変わりました。“流行だから”という理由ではなく、“長く着たいかどうか”で選ぶようになると、ひとつのアイテムと過ごす時間が深くなる。着るたびに気分がよくなる服が一着あるだけで、毎朝のスタートが豊かになります。

モノを減らすことで、環境にも少しだけやさしくなれた気がする。それは、自分に無理をさせずに、日々の選択を丁寧にすることの延長線上にありました。

“頑張らない贅沢”が、私のご褒美スタイル

シンプルな暮らしの中で、楽しみになってきたのが“ご褒美の質”を変えることでした。以前は、ストレス発散のために買い物や外食を繰り返していたけれど、今は少し違います。たとえば、朝から何も予定を入れずに、お気に入りの豆で丁寧に淹れたコーヒーをゆっくり飲むこと。それだけでも十分な贅沢です。

また、季節の果物を使ってスムージーを作る時間、部屋に差し込む光の中で読書を楽しむ午後、街の小さなベーカリーで買った焼きたてのパンを公園で食べる朝……お金をたくさんかけなくても、心が豊かになる瞬間はそこかしこにあります。

大切なのは、「何を持っているか」より、「どう感じるか」。誰かと比べるのではなく、自分が“心地いい”と感じる選択を積み重ねていく。その積み重ねの先に、シンプルだけど確かな幸せが見えてくるのだと思います。

モノが少ないぶん、体験は深くなる。頑張らない、自分にちょうどいいご褒美。それこそが、大人のための贅沢な暮らし方なのかもしれません。